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自律神経失調症・心身症・不定愁訴

自律神経の失調に基づく諸症状・・・
東洋医学の特徴は全身状態を良くする所にあります。


    自律神経失調症とは?
自律神経は各種内臓・血管・分泌腺などに広く分布し、不随意的(自分の意思とは関係なく)に各臓器・器官を調節することによって、外的環境の変化や内的環境の変化に対して自身のホメオスターシス(内部環境)を維持する機能を果たしている神経系です。

自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は能動的で、主に活動している時や緊張している状態の時に優位になると言われています。対して副交感神経は同化的で、食事や睡眠など主に休息している時や緊張が緩む状態の時に優位になると言われています。そしてそれぞれがバランスよく保たれている事が良好な状態なのですが、このバランスが崩れてしまうと様々な症状が現れてくる事があります。これを自律神経失調症(不定愁訴症候群)といいます。

自律神経失調症は一般に種々の自律神経性愁訴を有していますが、これに見合うだけの器質的病変(検査では異常が出ない)がありません。

自律神経失調症は疫学的には思春期から40歳代の間に好発し、男性より女性に多く、症状としては自覚的なものが多く、頭痛・肩こり・めまい・疲労感・不眠・ふるえ・四肢冷感・熱感・発汗異常・動悸・息切れ・胸部圧迫感・胸痛・食欲不振・胃部(腹部)膨満感・便秘・下痢など多彩です。(下図参照)また臓器選択性をもつ場合もあり、心臓神経症・胃腸神経症・呼吸神経症などの名称があります。自律神経失調症の診断はまず器質的疾患のない事を確かめなければならない事が絶対条件です。

自律神経失調症の症状
頭・耳・口・目・のど 頭痛・片頭痛・頭重感・めまい・耳鳴り・耳がつまった感じ・口渇・味覚異常・疲れ目・涙目・目があかない・目の乾き・のどの異物感・のどの圧迫感・イガイガ・のどがつまる など
心臓・血管 動悸・胸部圧迫感・立ちくらみ・冷え・のぼせ など
呼吸器 息苦しい・息がつまる・酸欠感・息切れ・息が深く吸えない など
消化器 食道のつかえ、熱感・異物感・吐き気・腹部膨満感・下腹部の張り・腹が鳴る・胃部不快感・便秘・下痢・ガスがたまる など
手足 手足のしびれ・手足の痛み・手足の冷え・足のふらつき・手足が重だるい など
皮膚 多汗・汗が出ない・冷や汗・皮膚の乾燥・痒み・にきび・吹き出物・肌が荒れる
泌尿器 尿の回数が多い・尿が出にくい・残尿感・夜間尿 など
生殖器 インポテンツ・早漏・射精不能・生理不順・外陰部のかゆみ・生理痛 など
筋肉・関節 肩こり・筋肉痛・関節痛・関節がだるい・力が入らない など
全身症状 倦怠感・疲れ易い・微熱・フラフラする・ほてり・寝つきが悪い・全く眠れない・睡眠途中で目が覚める・眠ったような気がしない・起きるのがつらい など
精神症状 不安・恐怖心・驚き易い・イライラ・落ち込む・怒りっぽくなる・集中力がない・やる気がでない・小さい事が気になる・記憶力低下・注意力低下・悲しくなる・憂うつ など

自律神経失調症の症状は、身体の一部のみが悪くなったり、精神的な状態が悪かったりと人によって症状の現れ方は様々です。またいくつか症状が重なって出たり、症状が出たり消えたりする場合もあります。これは自律神経系の乱れによる様々な種類の自覚症状なので、症状の現れ方が不安定な為のものです。

また、体質・性格・ストレスに対する感受性によっても、症状の現れ方は違ってきます。


    自律神経の調子が乱れる原因
俗に言う「ストレス」とは身体に反応を起こさせる刺激(ストレッサー:ストレス刺激)の事を言います。このストレッサーはいくつかの種類に分けられます。
物理的ストレッサー 騒音、振動、過度の明るさ等は生体に種々の反応を引き起こします
化学的ストレッサー 工場や自動車からの排煙、排気ガスに含まれる種々の化学物質も生体の反応を引き起こします
生理的ストレッサー 細菌やウイルスの感染は、生体に様々な免疫反応を生じさせます。また外気の変化、過度の労働、不摂生、睡眠不足、食生活の乱れなども同じように生理的反応を引き起こします。
女性の場合は、一生を通じてホルモンバランスが変化しつづけますので、この変化も自律神経の働きに影響を与えると言われています。
心理社会的ストレッサー 一般的によく使われている「ストレス」の殆どは、この心理社会的ストレッサーです。人生に起こるさまざまな出来事(職場、学校、家庭等における人間関係・入学・転校・試験・失恋・就職・転職・転勤・昇進・結婚・出産・育児・行事事・生別・死別・等)はすべて心理社会的ストレッサーになる可能性があります。
上記の事柄をみてみますと、自分達の周りは実にストレッサーだらけと言えます。
本来人間はこのストレス刺激に対して、それなりに適応する力を持っています。逆に毎日何の緊張もなく、頭や体を働かせる必要もなしにただ漠然と過ごしていると、心身を鈍らせ退化させてしまいます。

人間の身体にとって、適量のストレス刺激は、私たちの行動を適度に活性化して、快適で張りのある生活をもたらす為にも必要です。しかし過剰なストレス刺激は、病気や不快感など心身に害をもたらします。現代では種々のストレス刺激が適量でない為、身体に悪い影響を与えている傾向にあるようです。


    自律神経失調症や不定愁訴の諸症状にハリ・きゅう・マッサージは有効
自律神経失調症の諸症状に対して、はり・きゅう・マッサージなどの理学療法がある程度の成果を上げている事はそれなりによく知られています。
これは身体の表面からの刺激が体性感覚神経を介して内臓の働きやホルモン分泌などに影響を与える自律神経反射の中の「体性-内臓反射」を応用させたものです。
例えば、腹痛の時にお腹をさすったり温めたりすると、痛みが和らいで楽になった経験は誰にでもあるでしょう。これは腹部への刺激が自律神経を介して痛みを和らげる働きをしたからです。

一方現代医学における最先端の研究発表において「夢のDHEA―S」というホルモンが注目を浴びています。近年行われた高度先端医療研究会という学会で、このホルモンが一つのテーマに取り上げられました。
この「DHEA―S」というホルモンの作用は「免疫力向上」「精力増強」「体力強化」「快眠」「糖尿病に対する血糖降下作用」「抗炎症作用」などがあり、神経・内分泌・免疫の全てに関連する万能的なホルモンとして注目を浴びています。そしてこのホルモンは脳や皮膚でも作られている事がわかり、白畠康鍼灸師と永田医師らの研究により、鍼治療がDHEA-Sの分泌を促進する事を証明されました。鍼治療は凝りや痛みに対する対症療法的なものだけではなく、「ストレスや免疫に強くなるホルモンの分泌を促進する」という役割も担っています。

但し、効果があるからといって、ただ単に体表を刺激すれば良いというものでもありません。そこには刺激を与える場所の問題や刺激に対する感受性の問題など、考慮しなければならない事柄が沢山あります。


    東洋医学は全体(陰陽)のバランスを整える
東洋医学は「心身一如の医学」です。つまり病気の原因・症状・体質・精神状態などを総合的(全体的)に捉え、治療も全身的な調整に重きをおいて行います。そして「病気を診るのではなく病人を診る、病気を治すのではなく病人を治す。」と言われるように個人個人の状態に合わせて適宜調整しながら治療を行います。(オーダーメイドの治療)

また、西洋医学ではつかみどころの無い自律神経失調症や心身症・不定愁訴の諸症状ですが、東洋医学は身体に起こっている全ての現象を総合的に捉えるのに長けている為、東洋医学の理論では、その症候群が関連付けし易く、かつ把握し易くなっています。これは「今現在起こっている身体現象」つまり「患者さんの訴えるありのままの状態」を重視して経験的に治療を行ってきた英知であり、今現在も決して廃ることなく続いている素晴らしい治療法なのです。

自律神経失調症の諸症状は東洋医学が得意とする症候群といえるでしょう。


    東洋医学から見た病気のメカニズム
東洋医学では全ての疾患を陰陽五行、臓腑経絡に結びつけて考えていきます。そして独特の診察方法によって導き出された結果を「証:しょう」(東洋医学的診断名)と表現しています。この証に基づいた治療法を隋証療法といいますが、当院でもこの方法で治療を行っています。(経絡治療)

東洋医学についてもっと詳しく知りたい方はこちら~経絡治療って何?



    治療
当院では自律神経失調症・心身症・不定愁訴の諸症状に対して力を入れています。治療は単なるツボ療法ではなく、鍼灸経絡治療で行っています。また、必要に応じて指圧・マッサージも行っております。但しマッサージに関しては、その手技を施した方がより良い効果が期待できる場合のみとさせていただいております。

■自律神経失調症・心身症の諸症状

・証に基づく全身の調整(病の本質及び寒熱が波及した所に対する処置又は瘀血に対する処置)
・主訴となっている症状に対するアプローチ
・他の付随した症状があればその症状に対してのアプローチ

手順や流れについては<当院の鍼灸治療~特徴と利点~>を参照して下さい。

治療の経過、成果につきましては、各個人の体質や状態によって違いがあります。治療頻度や期間は出来るだけ各個人の状況に合わせて適宜調整していますので、遠慮なくご相談下さい。


    参考文献
日本鍼灸医学経絡治療
基礎編・臨床編         経絡治療学会編纂
古典の学び方(上)       池田政一著
伝統鍼灸治療法         池田政一著
難経真義            池田政一著
臓腑経絡からみた薬方と鍼灸
第一巻、第二巻、第五巻     漢方陰陽会編著
経絡治療のすすめ        首藤傳明著



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